交換日記4 ~許すと仰い!~

妹さんが長編小説に少し興味を持ってくれたみたいなので、姉がハマりかけている『十二国記』を紹介とともにダイマしようかと思います。

 

2019年10月に18年ぶりに新刊が出た十二国記。

www.shinchosha.co.jp

かくいう姉もこの新刊から十二国記を手に取ったにわか読者なので、それほど詳しくはない。

 

ので、十二国記を幼い頃から読んで育ってきた方たちには恐れ多いが、現時点で姉が詠んだ作品を掻い摘んで紹介する。

 

『十二国記 魔性の子』

第一作目。

高里要は物静かな高校生。10歳の時に1年間神隠しに遭っていたという過去を持つ彼は、同級生に「祟られる」と恐れられていた。

十二国記はこの作品から始まるのだけど、実はこれ本編じゃないんです。外伝。

このお話だけでも相当面白いけども、十二国記シリーズを一通り読み終えた後にまた『魔性の子』を読むと面白さが倍増する。心も抉られる。

姉は予備知識なくこの作品から入ったけど、世界観を知ってから読むのもあり。

読み方は自由なのだ。

 

『十二国記 月の影 影の海』

第二作目。

こちらが本編。十二国記の入り口となるお話。

内気な高校生の中嶋陽子は最近、魔物が段々と近づいてくるという悪夢を見る。

染めてもないのに赤くなっていく髪を教師にも親にも見咎められていた時に、急に目の前に金髪の美しい男が現れて、陽子を異界へと連れ去る。連れていかれた先で一人ぼっちになった陽子はどうにかして日本へ戻る方法を探し、一人孤独に旅するのだった。

これがね、辛い。攫われておきながらなんでこんな思いしなきゃならないんだ、って読んでる自分が理不尽に感じることばかり。でもその中に気づかなければならないことを教えてくれる。実は十二国記って少女向けの小説なんだけど、自分のことだけを考えていた子供から他者と関わって自分の在り方を考える中高生の時期に出会えてればなって強く思った。

よく言われるのは「ネズミが出るまで頑張って読んで」。

未読の妹さんにもぜひこの言葉を覚えていて読んでほしい。

 

『十二国記 図南の翼』

第七作。

裕福な商人の家に生まれた珠晶は日々荒廃の一途をたどる供国を危惧していた。恵まれた身分に生まれ、安全が守られた立場から誰かが王になるように大人たちを説得しても誰も聞く耳を持たない。珠晶は自分にできることをできる限りしようと、王を目指すために蓬山を目指す!

正直十二国記で一番好きな話。十二歳にしかならない少女が、自分を納得させるために昇山という無謀な、でも不可能ではないことに自分の出来得る全ての力を使って挑んでいく。できる限りの力を使って挑戦するというのは当たり前なようで難しい。

この世界で昇山するっていうのは魔物がうようよする砂漠や荒れた山(黄海)に放り込まれて街や宿屋もなく頂上を目指すって感じ。

もちろん十二歳の女の子にできるわけないから、珠晶は黄海で生業を立てている男を雇う。この組み合わせがまたいいんだ。強気な女の子とぶっきらぼうなおじさん。

もちろん珠晶の他にも昇山をする人たちがいて、その様子を見て「分相応」って言葉が浮かんだ。

悪い意味ではなく、出来ること・出来ないことの区別。

自分はどの立場で、何を優先すべきなのか。

どんな責任があって、何を守るべきなのか。

自分に必要なこと、出来ることをやることが珠晶の行動・成長からわかると思う。

気になったら読んでほしい。

 因みに第四作の『風の万里 黎明の空』が珠晶の初登場となるが、その場面もまたよい。まっとうな正論でバッサリ切り捨てられる場面は、思わず供国の民に志願したくなる。

 

 

 

…他にも読んだ作品はあるけど、小説の紹介はこれくらいにしておく。

読んだやつ全部やってたらすげー長くなる。

つまり、未読の妹さんはまだまだこれから楽しみがあるってことだ、羨ましい。

まだ読んでない巻もあるので、GWに向けて大人買いしようかな。

なので読みたいと思ったら姉に言ってくれ。

 

 

さて、十二国記はNHKでアニメ化もされた。

Netflixでも配信されているので、気になったら見てほしい。

『月の影 影の海』の本編をベースに、『魔性の子』を織り交ぜながらアニメオリジナルキャラクターの「杉本優香」と「浅野郁也」を加えている。

なので、慶国編を見るなら原作を読んでからを個人的には勧める。

アニメからお気軽には見てみたいかも、ってなら戴国編の「風の海 迷宮の岸」からがいいかも。

全く別の国の話だし、泰麒(くぎゅショタ)がもう本当に可愛いから!!!!

泰麒(くぎゅショタ)は国宝。

国を挙げて守りたい泰麒(くぎゅショタ)

未読でも読破してからでもいいから見てほしい。

 

長々と書いてきたが、まだこれでも嵌りきっていないと思う。

読み返すたびに沈んでいく沼だぜぇ、十二国記は。

アニメになってない話も多々あるので、この新作の波に乗って、新作も含めまたアニメ化決定を心待ちにしている。

動いて喋って罵る珠晶と、凛々しく成長なされた泰麒を見たい。